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九電の川内原発では不幸な事故が起きました。私の勝手な見解を記載してみます。
1.充電部への作業用接地の取付について
・検電は必ず行いますが、66kV以上の電圧の場合は他回線からの誘導により検電器が動作(誤動作)する場合があります。(長距離並行2回線等)この場合は検電器が動作しても回路切離しがされている事を確認の上で作業用接地をつけます。
今回は、440Vですが感覚が麻痺していたのでしょうか。
2.操作指揮者と操作者
・作業用接地をつける操作も操作票によりチェックを行い実施しますが、操作指揮者と操作員はお互いを確認して2重チェックで操作する必用がありますが、立場(元請け・下請け、上司・部下)が非常に違う組合せの場合は信じられない事故が起こることがあります。
3.400V系統で短絡事故(アーク発生)
・当地方の某工場の440V地点の短絡電流は約12kAですが、原発の400V系の短絡電流は、220kVから落として440V(島根原発の推定)で約60kAと思います。(適当な短絡電流計算です。)短絡時のエネルギーは2乗に比例しますので、某工場の25倍程度になると思います。 短絡容量の大きな発電所、変電所では短絡電流が大きいので被害も酷くなります。
・原発の接地は、全てメッシュ同一接地で限りなく0Ωに近いと思いますので、1線地絡は短絡電流より大きな電流が流れ、そのアークにより三相短絡に至。 非接地の6kVは地絡させても地絡電流が数10Aでたいしたことは無し、需要家の400V系を地絡させてもB種接地抵抗が2Ω程度あるので、地絡電流は100A程度。
※220kV以上の送電線は絶縁の関係上、直接接地を行います。大きな発電所、変電所の土地にメッシュ接地を行いますので接地抵抗は非常に小さい。 44G(地絡距離継電器)は44S(短絡距離継電器)のインピーダンスより小さい値に整定します。(送電線のインピーダンス及び角度、大地はインピーダンス零)
写真は、若い時に行った275kVABB(空気遮断器:日立)の精密点検(点検期間:2週間 消弧室他分解して部品交換)
※ 275kVの作業のため、活線他回線からの誘導により検電器は鳴りっぱなしになるので全員腰につけている検電器は取り外し。
ABBには作業用接地をつけているが、自分自身(自分の体)が誘導により電位が上昇しているので275kV導電部に手を近づけると火花が飛び、手が痛い。 ペンチなどを持って導電部に触ると火花は出るが手は痛くない。 275kV ABBは高さも高いし、足場を丸太で組み梯子を付けるまでは碍子を昇るのも大変で、新入社員は蝉のように碍子にくっついたまま動かなくなる者もいた。 電柱を昇るのは足場が確保されているので楽です。 同じ電気でも電圧が異なると違うことも多いです。
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