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37歳初心者さんへのお返事です。
瞬時要素検討(以下、当方の考え)
目的
過電流継電器の瞬時要素の目的は、需要家構内の短絡事故を確実に検出して保護機器の被害を最小限に抑える。電力会社系統や主遮断装置2次側との保護協調を取り、誤動作防止に努める。
瞬時要素の整定
1.二相短絡事故の検出
受電点の短絡容量(短絡電流)を電力会社に問い合わせる。
例えば、受電点の短絡容量が40MVAであれば 三相短絡電流:3499A 二相短絡電流:3030Aとなります。
二相短絡電流を確実に検出するためには2800A程度の整定が必要です。
2800×5/400A=35A となります。 この例の場合は、瞬時要素が35A以下整定とします。
2.誤動作防止
a.変圧器励磁突入電流の予測を行います。(以下、当方の経験等による考え)
・大容量トランスは定格電流に対する突入電流倍率が小さくなる。
・単相大容量トランスは突入電流が大きい。
・変圧器数が非常に多くなるとある程度の値で飽和する。
9000kVAの定格電流
9000kVA/(√3×6.6)×5/400=9.8A
9000kVA(トランス35台程度)の突入電流を総容量の5倍と考えると
9.8A×5= 49A 50A以上の整定が必要となり、検出すべき整定値とミスマッチとなる。
b.変圧器励磁突入電流の実測を行います。
変圧器励磁突入電流をメモリーハイコーダーを使って三相電流の波形を記録する。
簡易な方法としては、SOUKOUのクランプLC-70Fにてピーク電流を記録する。
※ 折角なので併せて電圧降下も記録が望ましい。
変圧器の残留磁気の影響、CB投入位相等によりバラツキはありますが思ったより突入電流が小さい場合がありますが計測値に余裕を持った整定にする。
参考)瞬時要素の動作時間が非常に速いタイプがあります。
MITSUBISHIのマルチリレーのMP11A-AF は実質、20mS程度で働きますので整定には慎重に!
3.第二高調波抑制付きの過電流継電器を使用する。
変圧器励磁突入電流には第二高調波成分が多いので、高調波抑制付きの過電流継電器や変圧器比率差動継電器が一般的に使用されています。
a.安い機種でオムロンK2CA-H(ファジィ推論により励磁突入電流の不必要動作を低減。)
b.MITSUBISHIのCOC4-A03D1は第二高調波抑止機能がありますので
4.まとめ
これだけ大きな設備ですので保護継電器の取替を行い、2F抑止付きで瞬時要素整定されることをお勧めします。
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